天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

海外旅行を楽しむなら「3つの薬」を持参すべき

順天堂大学医学部の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 15~18時間ほどズレてしまいますが、大きな問題はありません。薬を飲んでいない時間が長くなってしまうことよりも、「飲み過ぎ」によるトラブルを防ぐことが重要だからです。

 降圧剤を飲み過ぎて血圧が下がり過ぎれば、頻繁に立ちくらみを起こしたり、動悸や脈拍数が増加してしまいます。血糖を下げる薬を飲み過ぎてしまうと、低血糖を起こして昏睡状態になる危険もあります。

 とりわけ、危険なのが血液をサラサラにする薬の飲み過ぎ=効き過ぎです。出血しやすくなる上に血も止まりづらいので、脳出血を招く可能性もあります。これまで薬を飲んでいて、過去に歯茎から出血して止まらなくなったり、鼻血や痔による酷い出血を起こしたことがある人は、とくに注意が必要です。日本から病院で処方されている薬を現地に持参する場合、基本的には1カ月分の量を持ち込むことができます。また、持参薬の内容を証明する「薬剤携行証明書」や、処方箋のコピーがあると安心です。海外旅行に行く際は、担当医に相談してみてください。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。