「多死社会」時代に死を学ぶ

13年後には47万人が「死に場所難民」になる

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 都内で独り暮らしだった長田京子さん(87歳=仮名)はがんを患い、病院に通っていた。長田さんがしばらく朝の散歩の会に姿を見せなかったため、友人が自宅を訪ねたところ布団で亡くなっていた。明らかに病死で、不審なところはなかった。しかし、救急車が呼ばれ、異常死として警察に通報され、検視になったという。

■すでに「望まない死」が増加中

 25年前に全国に先駆けて24時間365日対応の在宅医療をスタート、現在、3つの在宅療養支援診療所を率いる医療法人「アスムス」理事長の太田秀樹医師が言う。

「こうした“望まない”最期を迎える人は珍しくありません。いまは8割が病院で亡くなりますが、最近は医療に支配された病院より、生活の場である自宅や介護施設で亡くなることを希望される方が増えています。しかし、仮にかかりつけ医にお願いしていても、医師が学会や所用で連絡がつかなければ結局、患者さんが思い描いた“死”を迎えることはできない場合もあります」

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