家族にとってはささいなことであっても、本人にとってショックなら、うつ病による物忘れを招くのだ。
では、認知症とうつ病を見極める手だてはないのか。
「例えば、冷蔵庫を定期的にチェックすると、見極めの手掛かりが得られます。認知症だと、食材を買ったことを忘れたりして中身が増える傾向がありますが、うつ病だと減る。引きこもり生活で買い物をしなくなっても、最低限の食事はしますから」
厄介なのは、物忘れの症状があっても、頭痛や吐き気、目まいなどの身体症状がつらいと、そちらを主訴として言うことだ。
しかし、同じ病気で頭痛と吐き気を発症することはまれで、そこから高齢者うつが見つかるケースもあるという。
「高齢者うつを的確に診断するには、その人の背景や病歴をつぶさにチェックする、かかりつけ医に診てもらうことが大切」という。
「認知症」を知るための20週間