Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【ムッシュかまやつさんのケース】膵臓がんは脱メタボ対策で予防

ムッシュかまやつさんは享年78(C)日刊ゲンダイ

 がん細胞が放出する遺伝子を解析して、早期にがんの有無をチェックする研究も着々と進んでいます。それが実現すれば血液や尿から、厄介な膵臓がんの有無を調べることも可能です。

 画期的な技術の登場に期待する一方、膵臓がんにならないような努力も必要でしょう。「我が良き友よ」のB面には、「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」が収録されていますから、かまやつさんは喫煙されていたのでしょう。喫煙は膵臓がんの発症リスクを2~3倍増やすとされています。

■1年に1回は腹部エコー検査を

 その次が、糖尿病。米国では、患者は60~80%が糖尿病とされます。病歴が10年を超えると、糖尿病でない人に比べて50%も発症リスクが上昇。糖尿病は、心筋梗塞や脳卒中をはじめとする血管病の危険因子であることはご存じでしょうが、膵臓がんの予防という点でも糖尿病治療は大切なのです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。