「多死社会」時代に死を学ぶ

「病院死」と「自然死」は何が違うのか?

一概には言えない(C)日刊ゲンダイ

■若い人ほど死ぬときに痛みを感じず

 死に顔にも違いがある。病院で亡くなる方は最後まで生きるための戦いをしているせいか、苦悶の表情を浮かべる人が少なくない。ところが、自然死は眠るように亡くなるため、穏やかだという。

「よく、“人は死ぬときは猛烈に痛いのでしょうか”と聞かれます。しかし、高齢者は若い人ほど痛みを感じないと思います。実際、あるお年寄りはグループホームの人たちの前でカラオケを歌い、着席してしばらくして亡くなりました。おそらくは心筋梗塞でしょう。若い人なら猛烈な痛みを感じるはずですが、この方は痛みを訴えることはなかったそうです」

 これは特別な例ではない。ある高齢女性が、徐々に弱体化してきたので、血液検査を行った。検査を終えてひと息ついていたところ、静かに息を引き取ったという。

「その後、亡くなった方の血液検査のデータを見たのですが、何の異常もありませんでした。採血前のバイタルサインも正常です。つまり、致命的な病気はなく、単に細胞が活動を終え、臓器が機能しなくなって亡くなる人もいるのです」

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