がんと向き合い生きていく

科学的に「がんにならない方法」は本当にあるのか?

都立駒込病院の佐々木常雄名誉院長(C)日刊ゲンダイ

「食事」も、がんのリスクと関わっています。

 日本人を対象とした疫学的研究から、科学的根拠に基づいたがんのリスク因子として、野菜・果物不足、多量の飲酒、低身体活動、塩分・塩蔵食品の過剰摂取などが挙げられています。

 健康日本21で国が示した野菜の1日目標量は350グラム以上としています。これにより、カリウム、ビタミンC、食物繊維の適量摂取が期待できるのです。

 多量の飲酒は、肝臓、大腸、食道がんなどのリスクを高めることが知られています。多量飲酒は健康日本21で「1日平均純アルコール約60グラム(日本酒にして3合)を超えて摂取する人」と示されています。

 なお、健康日本21(第2次)では、生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している人は「1日当たりの純アルコール摂取量が男性40グラム(日本酒で2合)以上、女性20グラム(日本酒で1合)以上」としています。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。