がんと向き合い生きていく

科学的に「がんにならない方法」は本当にあるのか?

都立駒込病院の佐々木常雄名誉院長(C)日刊ゲンダイ

 運動習慣や日常生活での種々の身体活動の増加は、大腸がんのリスクを下げることが期待できます。運動習慣のある人とは、「1回30分以上の運動を週2日以上実施し、1年以上継続している人」をいいます。

 都民の1日の歩数(15歳以上)の平均値は、男性8000歩前後、女性7000歩前後のようです。1日8000歩以上の割合は、男性51.3%、女性45.5%(20~64歳まで)でした。

 食塩の摂取量は、健康日本21では「1日8グラム」を目標としています。都民の平均食塩摂取量(1日当たり、20歳以上)は、男性11グラム台、女性10グラム台で推移しており、男性で8グラム以下の人は18.9%、女性31.5%のようです。

 結局、食事はバランス良く、野菜・果物不足にならないようにしながら、塩分の摂取は最小限にすること。適切な身体活動を続け、多量の飲酒は避けるなどが、がんのリスクを減らすことになります。

 科学的根拠に基づいた研究では正直、この程度しか分かっていないのです。さらに、「これを守ればがんにならない」とはとても言えません。それでも、少しでもリスクを減らして健康に過ごしたいものです。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。