「多死社会」時代に死を学ぶ

亡くなる人の食事 老衰死の人は1週間前に食べなくなる

「この状態になると『食事をしないと元気にならない』『水分をとらないと死んでしまう』と考えて、病院に運び込んで胃瘻や点滴をしてしまう人がいます。しかし、この段階では、いくら栄養や水分を体内に送ってもそれを吸収する力が体に残っていません。死ぬまで栄養分や水分を送り続けることは、亡くなる人にツライ思いをさせるだけなのです」

 介護施設などによっては、食べなくなる直前まで、普通食以外にミキサーで食べ物を砕いて食べやすくしたミキサー食を用意したり、ソフトクリームをなめさせるなど“食べ方”の工夫をしている。

「それも重要ですが、楽しく食べさせることも大切です。ひとりで食事をする孤食が一番いけない。食事を楽しくすることが一番の(健康)長寿の秘訣であり、生きる力になります」

 では、老衰に向かう人への食事はどう考えればいいのだろうか?

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