独白 愉快な“病人”たち

美容ジャーナリスト山崎多賀子さん 乳がん闘病記が自分の心のリハビリに

山崎多賀子さん(C)日刊ゲンダイ

 主治医は丁寧にホルモン療法と抗がん剤治療の説明をしてくれました。でも、私はどちらも絶対にやりたくなかった。特に健康な細胞まで殺してしまう抗がん剤で、髪の毛まで抜けるなんて受け入れられるわけがない。

 そんな時、入院中に知り合った“がん友達”が亡くなりました。そこで改めて「私の病気は死と直面するんだ」と思い知らされました。同時に、「あの時、治療しておけばよかったと思わないようによく考えてくださいね」という主治医の言葉を思い出しました。

「ならば、今できる治療をしよう」と気持ちを入れ替え、抗がん剤治療とホルモン療法、分子標的薬(がん細胞の性質を分子レベルでとらえて効率良く攻撃する)での治療を受けることにしました。

■ウィッグやメークは自分を守る「鎧」のようなもの

 もともと、「がん患者だからとコソコソしたくない」という思いがあり、周囲にがんを公表していたのですが、さらに女性誌で闘病記の連載も始めました。治療法、必要なお金、ウィッグなど、私が知りたいことを専門家に聞きました。他にも私の日常もつづったのですが、取材をして書くことで考えが整理され、記事を発表することで誰かの役に立つのであればうれしい。何より自分の心のリハビリになりました。

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