独白 愉快な“病人”たち

美容ジャーナリスト山崎多賀子さん 乳がん闘病記が自分の心のリハビリに

山崎多賀子さん(C)日刊ゲンダイ

 そのために必要だったのが、ウィッグでありメークです。当時の私は、それらを世間の目から自分を守る「鎧」のように感じました。何も装わずに丸腰で戦場(社会)に出ていくのは不安だけれど、鎧を着けていれば自分らしく堂々とできる。そんな気分です。

 がんを告知され、治療をし、さまざまな思いを体感してきましたが、ずっと「私はがんになったけれど、それが何か?」と言い続けて、世間の偏見をなくしたいと思ってきました。がん患者は世間から排除される存在ではなく、みんなでケアをしながら、患者もそうでない人も共に生きていくべきです。無理に自分はがんだと言う必要はないけれど、言えない社会はおかしい。ヘンに気を使われるのも、同情されるのもイヤ。がん患者は大変だけれど、かわいそうな人じゃないんです。

 がんを経験した者がそれを言い続けることで、社会が変わることを信じています。

4 / 5 ページ