「多死社会」時代に死を学ぶ

食事、呼吸、排泄が「老衰死」前の3つの特徴

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 亡くなる数日前に高い熱を出す人も少なくない。これは「最後に燃え尽きることなのでは」と言う。

 ベッドに伏している本人は夢の中で、最期が近づくと、吐く息が、ハア、ハアと少しずつ荒くなる。

 血圧が下がると、心臓から遠い手足から肌の色も変化して冷たくなってしまう。血圧はやがて60以下になる。青紫色に変化する(チアノーゼ)のは、血流が低下し血液中に含まれる酸素濃度の低下が原因だ。

「死が近づくにつれ、呼吸がだんだんと乱れてくるのは、生きていくために最も原始的な脳幹の呼吸中枢が、最後まで頑張るからですね」

 最後は、下顎呼吸を行う。下あごを下げ、普段とは違う筋肉を使った補助呼吸である。

 見守る家族は、こうした症状を見て、「苦しいのか?」と心配するが問題ない。

 最後に、息を大きく吐き出す人がいる。これは、呼吸筋の最後の反射反応と言われている。

「家族がみとっている前で私は、『ご臨終です』などと、形式的な言葉は使いません。『長い人生、本当にご苦労さまでした』と、語りかけています」

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