虚血性心疾患「心臓カテーテル」は治療後の出血に要注意

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 この治療法で一命を取り留めた吉村さんだったが、治療後3日ほどして再び異変に襲われた。顔面が蒼白となり、目の前がぐるぐると回り始めたのだ。再び病院に戻り検査したところ、今度は「貧血」と告げられた。

「胃の中に大量の血がたまっているというのです。胃壁から出血していたらしい。そういえば退院後も血液が混じった黒い便が出ていました」(吉村さん)

 原因は「アスピリン」と「クロピドグレル」を使った抗血小板治療(DAPT)にあった。

「この2剤は血液をサラサラにする抗血小板薬で、PCI後に飲むと、ステントに血栓ができるのを6~7割減らせるそうです。PCIの効果を長続きさせるため一般的な治療といいますが、その分、胃や腸などの消化管からの出血リスクは高くなるそうです」(吉村さん)

 過去の研究では、PCI後に抗血小板薬を使わなかった治療を1とした場合、クロピドグレル単剤で1・1、アスピリン単剤で1・8、2剤を併用するDAPTで7・4倍も重度の消化管出血が表れたと報告している。

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