役に立つオモシロ医学論文

歯を残すほどアルツハイマー病のリスクは軽減される?

しっかりと口腔内ケア(C)日刊ゲンダイ

 その結果、認知症の発症リスクは、歯の残存本数が20本以上に比べて、10~19本で1.62倍、1~9本で1.81倍、0本で1.63倍、統計学的にも有意に増加しました。

 また、歯の残存本数と認知症リスクの関連性に一定の傾向性が認められるかどうかを解析したところ、「歯の残存本数が減少すると、認知症発症リスクが増加する傾向にある」ことが示されました。この関連は特にアルツハイマー病で示唆され、アルツハイマー病ではない脳卒中後の認知症(血管認知症)では関連が見られませんでした。

 この研究結果から、歯磨きをすれば認知症を予防できると断定することは難しいですが、歯の残存本数を維持することは、特にアルツハイマー型の認知症発症リスク軽減につながる可能性が示されています。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。