心の症状だけじゃなかった 「うつ病」よくある3つの誤解

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「ところが、患者さんの多くはこれらの身体的な症状を医師に伝えていない。医師の側からいろいろ質問していくと出てくることもありますが、伝えなかった理由を聞くと、『うつ病の症状と知らなかった』『気持ちの問題だと思った』と言うのです」

 気持ちの問題だと思っているので、もっと頑張れば解決できると考える。周囲はもちろん、本人も「性格の問題だ」と考える場合もある。結果、なかなか病院に行かず、症状をこじらせ、診断された時は治療が困難になっているケースもある。

 15人に1人は経験するといわれるうつ病のメカニズムは、実ははっきりとは明らかになっていない。有力な仮説は、いじめや虐待といった幼児期の外傷体験などで脳の神経系のバランスが崩れているところに、思春期以降なんらかのストレスが加わり、うつ病を発症する――というものだ。

 いずれにせよ、「自分は絶対にうつ病にならない」とは言えない。うつ病患者の中には「明るく、ニコニコして笑顔が絶えないAさんが、まさかうつ病!?」と周囲に驚かれるケースもある。

 心身の不調を自覚した時、スムースに治療に入れるかどうかの分かれ目は、正しい知識を持っているかどうかにかかっている。それは、本人だけでなく、周囲にも言えることだ。

3 / 3 ページ

関連記事