「多死社会」時代に死を学ぶ

終末期に胃ろうは必要か?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 口から食べられなくなった患者さんのお腹に穴を開け、カテーテルを通して直接栄養剤を送る「胃ろう」。一度つけたらなかなか取り外せない、意識もなく、ただ生きているだけの患者さんをつくるだけ、などの批判がある。医療現場でも賛否の声が上がる。

 その医療コストは、病院施設か在宅かによって開きがあるが、自己負担金は大ざっぱにひと月4万~6万円である。

「胃ろうを一時的につけることで元気になる人もいる。そういう人は大いに活用すればいい。しかし、高齢者がつけると寝返りも打てず、黙ってじっと横たわっているだけ。病院にはそうした高齢者が20万~30万人いるといわれています。終末期の高齢者に、こうした過剰な延命医療を施すことは、本人にとって、果たして幸せなことでしょうか。むしろ、本人を苦しめることにならないか。私はもっと自然に、安らかな死を迎えさせてあげたいと、早くから『平穏死』を提言してきました」

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