「多死社会」時代に死を学ぶ

終末期に胃ろうは必要か?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 こう言うのは特別養護老人ホーム「芦花ホーム」(東京・世田谷)の石飛幸三常勤医師だ。

 石飛医師は血管外科医としてドイツの病院や「東京都済生会中央病院」(退職時、副院長)で長年、患者を治療してきた。現在の「芦花ホーム」の常勤になって12年を迎えるが、現在も毎日、老衰の胃ろう患者と向き合っているという。

「芦花ホームに、胃ろうをつけた80代の女性が入居してきました。息子さんの希望もあって、このおばあちゃんから胃ろうを外しました。息子さんはすぐに亡くなると思ったようですが、それから3年生きて、その後、安らかにお亡くなりになりました」

 医師は患者を治療し、1日も長生きさせることが第一の使命である。胃ろうもそのための治療のひとつだ。だが、「人生最終章の医療判断として、何を選択することが本人にとって最も幸せか、その心も考えるべきではないでしょうか」と石飛医師は言う。

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