独白 愉快な“病人”たち

磯野貴理子さん独白 脳梗塞で「まだ死にたくない」と痛感

「左腕は今でも右腕とは違う感覚がする」と話す(C)日刊ゲンダイ

 そんな夫を目の前にしても、「大丈夫、大丈夫」となぜか余裕で、「稽古着はどうしよう」などと夫に話しかけながら準備を始めたところ、その言葉が言葉になっていなかったようで……。夫から「ちゃんとしゃべれてないよ」と何度も言われました。自分ではいつも通りに話しているつもりなのに、明らかに病的な感じだったのでしょう。「これはおかしい」と思った夫が、すぐに救急車を呼んでくれたのです。

 いま思えば、起きかけたときに寝ぼけながら、うっすら「左腕がしびれてるな」と感じたことは確かです。到着した救急車の中で、「左腕が変な感じがする」と訴えると、救急隊員が「顔はどうですか? 触ってみてください」と言うので顔を触ると、左側だけ変な感じがしました。そのとき、救急隊員がカルテのようなものに「脳出血」とメモした文字を、付き添ってくれた夫がちらっと見ちゃったらしくて、あとから「あのときは車椅子の生活も覚悟した」と言っていました。

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