数字が語る医療の真実

肺がん検診の「CT検査」はハイリスク群向け

 肺がん検診は、誰にでもお勧めできるというわけではありません。一般に行われている検診は、「胸部X線」と「痰」の検査の組み合わせです。この方法では肺がんの死亡率が減るかどうか、はっきり示されていません。

 6つのランダム化比較試験を含む7つの研究を統合したメタ分析があります。結果は、検診を受けないグループの100人の肺がんによる死亡に対して、検診を受けたグループでは87人と少ない傾向にありました。ただ、統計学的に明確な差ではありませんでした。

 注意したいのは、これらの研究では検診群よりは少ないとはいえ、対照群に対しても胸部X線写真撮影が行われている点です。まったく何もしていないわけではないのです。

■「胸部X線「「痰」検診で死亡率が減るかは分からない

 これらの研究の対照群では、一般住民よりも肺がんの死亡率が、かなり低かったことも報告されています。一般的な住民と比べれば検診群での肺がん死亡は少なく、一概に肺がん検診に意味がないとも言えない結果です。

1 / 2 ページ

名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。