がんと向き合い生きていく

早期発見がカギ 胆のうがんは進行すると根治手術が難しい

都立駒込病院の佐々木常雄名誉院長(C)日刊ゲンダイ

 Nさんの場合は、悪性リンパ腫の経過を見ている検査の間に急に胆管がんができたのではなく、以前から胆管にできていたがんが次第に大きくなり、胆管を閉塞させることになって初めて、採血やCT等で異常が表れたと考えられます。胆管がんは早期でも黄疸をきたしやすいのです。

 胆のうは、胆汁をためて濃縮する袋で、胆管は胆汁を十二指腸に出す管のことです。合わせて「胆道」といいます。胃に食事が入ると胆のうの袋が収縮し、たまったたくさんの胆汁を胆管に出し、十二指腸に流れ出ます。

 胆汁には消化酵素は含まれていませんが、十二指腸で膵液と一緒になり、脂肪やタンパクを分解して腸からの吸収をしやすくするのです。便が黄色いのは胆汁によるものです。

 ですから、黄疸が表れた時は便の黄色みはなくなり、白くなります。

 胆道がんには「胆管がん」と「胆のうがん」があります。胆管がんは、Nさんのように早期でも黄疸をきたすことがあるため、その際に見つかりやすいといえます(肝内胆管がんは別)。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。