がんと向き合い生きていく

早期発見がカギ 胆のうがんは進行すると根治手術が難しい

都立駒込病院の佐々木常雄名誉院長(C)日刊ゲンダイ

 しかし、胆のうは袋ですから、そこにがんができても早い時期には黄疸症状はないことが多く、見つけにくいのです。また、胆のうの筋層には粘膜筋板という組織がなく、胃や腸の壁よりも薄いことから、がんが周りに広がりやすい傾向があります。そのため、胆のうがんでは進行した状況で見つかることが多いのです。

 胆のうがんの症状としては、腹痛、全身倦怠感、食欲低下、下痢、そして黄疸、全身のかゆみなどがあげられます。胆のうがんの半数以上の人が胆石を持っていて、胆石や胆のう炎の症状からがんを発症することがあります。胆石を持っている人は、胆石のない人に比べて10倍高い頻度で胆のうがんになるといわれています。最近は、先天的に膵管と胆管の合流異常があると、胆道がんが発生しやすいことも分かっています。

 先日、72歳で亡くなられた俳優の渡瀬恒彦さんの胆のうがんが見つかったときは、すでにステージ4だったそうです。おそらく、その時点ですでにリンパ節へ転移し、周りの臓器にがんが浸潤していたのではないかと思われます。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。