クスリと正しく付き合う

座薬を「座って飲む薬」だと勘違いする患者さんもいる

「多めの水」はどれくらい?/(C)日刊ゲンダイ

 また、吸収の悪い薬(骨粗しょう症治療薬)を処方された患者さんが、「朝一番に飲んで、30分は横にならずに起きておいてください」と説明され、起立していなくてはならないと勘違いしていたケースもあります。「朝から30分ずっと立っているのはツライ」と訴えてこられたのですが、上半身を起こした状態で座っていてもよいことを理解されていなかったのです。

 他にも「舌下錠」(舌の下に挟んで溶かす薬)を勘違いして飲み続けていた患者さんや、「座薬」を座って飲んでいたという薬剤師の教科書の笑い話に登場する事例に、本当に出くわしたこともあります。

 薬を適正に使うためには、まず正しい理解と、ライフスタイルに合った薬選びが必要です。いまや「かかりつけ薬局」の時代、患者さんが薬局(薬剤師)を選ぶ時代です。ぜひ納得いくまで説明を受けて、気に入った薬剤師を見つけてください。それが、薬の適正使用の第一歩といえるかもしれません。

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神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。