「多死社会」時代に死を学ぶ

現役おくりびとに聞く「現代の死」 増える直葬に違和感

時代の変化と共に葬儀も変わっていくのか(C)日刊ゲンダイ

 直葬とは、亡くなった場所(病院や自宅など)から直接火葬場に搬送される簡素化された葬儀。親族や友人らが参列する「お通夜」の類いをカットする。表現が悪いが、死んだら死亡診断書を受け取り、すぐに焼いてしまうという葬儀だ。葬儀費用の節約や、核家族などの反映で、親戚付き合いにも大きな変化が起こっているのも確かである。

「でもね、人間の尊厳を重くみた時、直葬はどうでしょうか。亡くなるとは、悲しみの場であることは間違いありません。しかし、葬儀はむしろ、ここまで生きてくれた感謝の気持ちを大切にし、少しでも命の終章に寄り添ってあげてもいいのではないでしょうか」

 病院や自宅から遺体を引き取る時に、特に旅立つ女性にはきれいに化粧をしてあげたいと思う。ところが直葬どころか、生活保護や、遺族の経済的事情で、「お断り」されることがあるという。

「少し寂しい思いをすることがあります」

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