独白 愉快な“病人”たち

夫の言葉に導かれ だいたひかるさん「乳がん闘病」を語る

「笑いの大切さを知ったのも病気のおかげ」と語る(C)日刊ゲンダイ

 悩まなかったといえばウソですけれど、「命か胸か」と言われたら答えはおのずと出ていました。右胸がなくなるのは寂しかったですが、ものは考えようです。心が傷つかない方法をいろいろ考えて、そのときは「小学生に戻ったと思えばいいや」と自分を納得させました(笑い)。

 入院は2月下旬。手術を受けた夜、背中が痛くて何度もナースコールをしたときも、「もしここが野戦病院だったら、ナースコールなんてないんだ」と妄想して、自分の幸せを噛みしめました。翌日からは、もう歩いてレントゲン室に行ったり、数日後にはドレーン(排液管)を付けて仕事をしたり、家が近かったので毎日、夕飯を作りに帰ったりもしました。

 ただ、手術より悩んだのは、その後に始まる抗がん剤治療でした。医師から「抗がん剤は子宮にもダメージがあって、そのまま閉経してしまうかもしれない」と言われたので、本当は嫌だったんです。毛が抜けるのなんてどうでもいいけれど、子供を産みたいという思いが最後まで決断を鈍らせました。でも、「子供が生まれても、君がいなくなったら意味がない」と夫に言われ、4月から半年間の抗がん剤治療を受けました。

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