受診までの「応急処置」

【こむら返り】頻発する人は「芍薬甘草湯」を手元に

突然の痛みにビックリした人は多いはず
突然の痛みにビックリした人は多いはず(C)日刊ゲンダイ

 足のふくらはぎに起こる「こむら返り」。睡眠中の激痛に悲鳴を上げる人も少なくない。何が起こるのか。山田記念病院・整形外科(東京都墨田区)の長谷川伸医師が言う。

「ふくらはぎの筋肉がケイレンしている状態。通常、筋肉は伸び縮みが無意識に調整されていますが、それが何らかの原因でできなくなり、筋肉が縮み続けて痛みが出るのです。それが『つる』という状態です」

 ちなみに、スネ、太ももの表や裏、腹部や背中、手指や足の指など、全身のさまざまな筋肉でつることがある。筋肉がケイレンを起こす原因は、疲労やミネラル(マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウムなど)のバランスの異常。それによって、筋肉の収縮を調節するセンサーがうまく働かなくなるという。

「病的でないものでは、スポーツや立ち仕事による筋肉疲労や老化によって筋肉のセンサーが誤作動を起こすことです。スポーツ前のウオーミングアップ不足や日頃の運動不足でも誤作動を生じます。水泳や冬場のゴルフ、登山などでは、筋肉疲労に加えて『冷え』による血流低下で、必要なミネラルが運ばれなくなることでも筋肉の異常収縮が起こりやすくなります」

 夜間にトイレに行かないために水を飲まなかったり、飲酒によるトイレ(利尿作用)が原因で起こる脱水もミネラルバランスを乱し、こむら返りを起こりやすくするという。

 持病に伴うものでは、「脊柱管狭窄症」「腰椎椎間板ヘルニア」「糖尿病」などによる神経障害。「閉塞性動脈硬化症」「下肢静脈瘤(りゅう)」などによる血流低下。「腎不全」「肝不全」「甲状腺疾患」「妊娠」などで生じるミネラル異常や栄養素(レボカルニチン)の不足などが原因になる。では、なぜ睡眠中によく起こるのか。

「夜間は筋肉のセンサーの働きが低下しているところに、布団の重さで足首が押されてふくらはぎの筋肉が縮んで、誤って収縮し続けてしまうのです。夜間の体温低下や布団から足を出すことによる冷えも関係します」

 こむら返りが起きたときの対処法は、筋肉が収縮している方向とは反対側に筋肉を伸ばすこと。膝を伸ばした状態で、つま先を体の方へ引っ張る。早くケイレンを止めないと、筋肉が損傷して痛みの引きが長引くという。

「市販薬では漢方薬の『芍薬甘草湯』が一般的。飲んで4分ほどで効くので、頻発する人は枕元に置いておくといいでしょう。筋肉の疲労が明らかな場合は、梅干しなどで『クエン酸』を取ると予防になります」

 就寝前はコップ1杯の水を飲むこと、羽毛布団などの軽い布団にして足への刺激を減らすことも予防になるという。