「SIDSと診断されるには、死亡状況調査や解剖検査で他の病気が見つからないことが条件になります。そのため、実際ははるかに多くの乳幼児がこの病気で亡くなっていると考えられています」
SIDSのほとんどが睡眠中に起こっている。とくにうつぶせ寝での発症が目立っているが、その原因はハッキリわかっていない。
「有力なのは、『呼吸をつかさどる脳幹部の発達の遅延だ』との見方です。うつぶせ寝はあおむけに比べて接地面が大きく、赤ちゃんの気持ちが落ち着き、眠りが深くなりやすい。人間は深い眠りに陥ると瞬間、呼吸が止まることがあります。通常は脳幹部の防御反射で覚醒して呼吸を再開しますが、赤ちゃんは脳幹部の呼吸中枢が未熟で防御反射が遅れ、覚醒しないことがあるのです」
一般にはうつぶせ寝だと鼻や口を布団などが覆い、窒息する、と考えがちだが誤解だという。