あの話題の治療法 どうなった?

【グルコサミン・コンドロイチン】米国整形外科学会は「変形性膝関節症に効果なし」

米国整形外科学会は「変形性膝関節症に効果なし」だが…
米国整形外科学会は「変形性膝関節症に効果なし」だが…/(C)日刊ゲンダイ

 必要な医療だけを求め、無駄な医療には手を出さない――。医療費が高額な米国ではそのために「科学的根拠に基づいた治療」が求められる。それによって医療を変えようという運動が「賢く選ぶ」キャンペーンで、旗振り役は米ABIMという米国医師らで構成する非営利組織。米国内の70以上の医学会が参加しており、所属する医師の数は米国医師全体の8割にも上る。2013年にはそのうち50学会が250前後の医療行為を不要としたが、これもそのひとつだ。

 グルコサミン・コンドロイチンともに関節軟骨の合成に関わる成分で、年齢とともに減少するため、変形性膝関節症の原因のひとつだといわれている。しかし、米国整形外科学会では「変形性膝関節症の患者には、症状があってもグルコサミンやコンドロイチンを使ってはいけない」としている。変形性膝関節症の患者の症状を緩和させると断言できるだけの科学的根拠はないと指摘している。

 そもそもこの2つの成分が「膝の痛みに効く」というイメージを持つキッカケとなったのは世界的に権威のある医学雑誌に06年に掲載された論文。膝の痛みを訴える1500人近い患者をコンドロイチン、グルコサミン、その両方、偽薬の4群に分けて半年後調べたところ、両方飲んでいる群は効果があったという。それまでも複数の研究チームが症状を改善する可能性があると報告してきたが、これがイメージを決定付けた。

 しかし、その一方で効果なしという国内外の研究結果も多い。キッカケとなった06年の研究でも研究全体で見ると「効果は認められない」と結論付けられている。

 10年にコンドロイチン、グルコサミンのいずれかまたは両方を使った患者と、偽薬との比較を行った10本の論文をまとめて解析した結果も「効く」という結論は出ていない。

■今も賛否両論続く

 日本でも14年にリウマチ関係の専門誌に掲載された論文ではコンドロイチン・グルコサミンのサプリメントと偽薬を比較したところ、「症状の改善にはとくに違いはなかった」という結果だった。

 その後も国内外で多くの研究が行われているが、研究者や医師の間でも「科学的に効くか否か」についてはいまなお賛否両論がある。だからこそ健康食品の範囲にとどまっているということだ。