「認知症」を知るための20週間

表情乏しい人が満面の笑み 旅行に行き“ミラクル”起こそう

積極的に外へ(C)日刊ゲンダイ

 家族が認知症になると「(本人に)何かあったらいけないから」「周囲に迷惑をかけてはいけないから」などの理由から、本人の意向は関係なく、家族が「外出や旅行なんてとんでもない」となりがちだ。

 それに真っ向から反論するのは、兵庫県西宮市「つどい場さくらちゃん」の丸尾多重子さん。

「認知症だからって、家に閉じ込めておいて、どんないいことがある? 健康な人でも家の中にずっといれば息が詰まる。積極的に外へ出て、おいしいものを食べ、刺激を受ける。これによって、数々の“ミラクル”が起こります」

 そうはいっても、介護家族だけでは外出が困難。そこで丸尾さんは「お出かけタイ」と名付け、認知症の人やその家族、医療スタッフ、介護に関心があるさまざまな人で、パチンコ、居酒屋、カラオケ、花見などへ出かけ、年1回は旅行もしている。旅行先は最初は近場だったが、北海道へ距離を延ばし、ここ数年は台湾へ旅している。

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