それだけ、検診が浸透していないと考えられます。
私の先輩医師も、たくさん肺がんで亡くなりました。みなさん愛煙家でした。長く親しくお付き合いいただいたRさん(男性・74歳)は、お会いした時はいつも灰皿に吸い殻がいっぱいでした。仕事を辞めるまでは、がん検診を毎年受けていましたが、その後は受けていませんでした。
5カ月ほどときどき咳き込むことが続き、下肢がむくんで病院で診察を受けた時は、担当医から「胸部に径10センチの腫瘤があり、肺がんです。手術などのがん治療はもう無理な状態です」と説明されました。
ある日、Rさんから電話がかかってきました。「自分の人生に悔いはないと思っています」と言いながら、それでも「2人の孫が大学、高校に入学する来春までは頑張らなければ」と話されていました。その心中はいかばかりであったでしょう。そのようにおっしゃってはいましたが、無念の気持ちが伝わってきました。今年は、Rさんが亡くなって2年目の春になります。
がんと向き合い生きていく