明細書が語る日本の医療

肺がん手術数 47病院で年間実施件数の22%を手掛ける

国立がん研究センター中央病院と肺がん手術の表(C)日刊ゲンダイ

 ほかにも肺がんで損傷を受けた気管支の修復手術や、肺出血・肺血腫の手術も含まれています。肺がんが血管を破壊すると出血が生じます。肺は袋状ですから、出血の大半は肺の中にとどまって、肺血腫と呼ばれる塊を形成します。肺がんの末期症状のひとつで、放っておくと呼吸困難に陥るため、手術(主に胸腔鏡)で取り除くのです。

■実績があるのは744施設

 DPCデータを基に肺がん手術件数の多い病院を抜き出すと、〈表〉のようになります。

 この数字にも転移がんやその他の手術が含まれています。1、2位は国立がん研究センターがしっかり押さえています。また、各県のがんセンターも、地域における役割を果たしていることが分かります。

 肺がん手術を行っている病院数は注目に値します。14年度において肺がんの手術実績がある病院は、全国で744施設でした。年間100件以上は209施設。さらに年間200件以上となると、わずか47施設に減ります。この47病院で、全肺がん手術の22%をこなしているのです。

「どうせ手術を受けるなら、できるだけ実績の多い病院を選びたい」のが人情です。しかし年間200件以上となると、かなり狭き門。数カ月に及ぶ手術待ちも覚悟する必要がありそうです。

2 / 2 ページ

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。