病院は本日も大騒ぎ

お金の貸し借りが思わぬトラブルを生む

犯人は…
犯人は…(C)日刊ゲンダイ

 病院には数十人の医師と200人を超える看護師、大勢のスタッフが勤めています。このほかに1000人単位の患者さん、業者の方など多くの人が訪れます。

 毎日が騒々しく、気を休めることがありませんが、最近、私事で一つショックな出来事がありました。昼の勤務だった私が帰宅しようとしたとき、下駄箱から私の靴が消えていたのです。

 入院患者さんとのトラブルがよくありますが、患者さんは、看護師靴箱の所在など知らないでしょう。だから、いたずらして隠したり、盗んだりすることはできません。

 直感的に「同僚の看護師がやったな」と思いました。看護師日誌に書けば、大ごとになりますから黙っておりましたが、誰が私の靴を隠したか、あるいは捨てたか、子供じみた犯行の主はおおよその見当がついたのです。

「お財布を忘れた」「落とした」など、さまざまな理由から看護師同士によるカネの貸し借りは時々あります。

「私、今月は金欠なのよ。来月の給料日まで1万円貸して」と言われることも少なくありません。私はある若い看護師に2万円貸しました。多分、デート代に使ったのでしょう。

■犯人は…

 ところが、約束の返済月になっても返してきません。

 顔を合わせても知らんぷりしています。忘れているのかどうなのか。私にとって、2万円は小さい金ではありません。半年ほど経って、その看護師を廊下の隅に呼んで催促しました。

「来月に必ず払いますから」と返事しましたが、そのとき私は少しお説教をしたのです。

「金銭にだらしないのはダメよ。借りたらきちっと約束した返済日までに返すこと」

 反感を持ったのでしょうね。日々、私を見る目が険しくなり、靴が消えたのはそれから3日後でした。

「彼女が私の靴を隠した」と彼女の同僚看護師から聞いたのは、それからさらに1カ月後の彼女の退職した日。私は心の底でどこか彼女を信頼していたのですが、残念なことです。