筋力低下でがん死亡率上昇 「サルコペニア」をどう避ける

スクワットで筋肉を(C)日刊ゲンダイ

 同様な研究は他にもあり、365例の大腸がん開腹手術を対象に調べた研究では、術後10日間で筋肉量が大幅に減少し、術後10~30日の減少量よりも多かったという。

■手術後の合併症や抗がん剤副作用リスクを避ける

 筋肉量が減れば、立ったり歩いたり、食べ物を噛み砕いてのみ込んだり、呼吸をする能力さえも低下し、衰弱に拍車がかかる。

 しかも、抗がん剤の副作用も強く出る可能性がある。

「胃がん、大腸がん、食道がん、乳がんなどに使われる代表的な抗がん剤に5―FUがあります。細胞の遺伝情報を持つDNAやRNAの合成をジャマしてがん細胞を死滅させる薬です。最近の研究で5-FUの代謝に腎臓や肝臓だけでなく筋肉が関わっていることがわかってきました。サルコペニアのがん患者さんは、抗がん剤に伴う有害事象の発生頻度が高いとの報告もみられます」

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