当事者たちが明かす「医療のウラ側」

不老不死にまた一歩近づいた医学

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 同じ研究チームは以前、生後2歳のマウスにNADを投入し、同6カ月のマウスの状態に戻すことに成功。「老化プロセスを停止させ、さらに細胞を若返らせた」として世界を驚愕させました。

 彼らは、老化した細胞内では、エネルギーを生産するミトコンドリアと呼ばれる器官と細胞核との正しいコミュニケーションができなくなることを発見。これが老化に関係することを突き止め、年齢と共に減少するNADをマウスの細胞に注入することで、細胞の若返りに成功したのです。

 今回の研究では、長寿遺伝子と呼ばれるサーチュイン遺伝子のひとつである「SIRT1」に着目しています。

 NADはこの遺伝子を活性化させるだけでなく、DNA修復を制御するタンパク質「PARP1」により消費されることが報告されています。

 一方で、PARP1はSIRT1の働きを抑制するタンパク質「DBC1」と普段は細胞内で強く結合しています。

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