受診までの「応急処置」

【口臭】舌苔清掃と唾液マッサージが効く

写真はイメージ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 妻や子供、家族から指摘されて気づく口のニオイ。口臭の原因は、口内環境が約7割、消化器の状態による体質的なことが約3割といわれる。東京銀座シンタニ歯科口腔外科クリニックの新谷悟院長が言う。

「普通、口臭は自分で気づけません。その原因で最も多いのが『舌苔(ぜったい)』。鏡で舌を出して見て、白い舌苔がいつもより多く付着していれば、きついニオイが出ている可能性が高い」

 舌苔は、口腔内の細菌や新陳代謝ではがれた細胞、食べ物のカスなどが付着したもの。口内が汚れていたり、体調が悪かったりするときは急激に増えて口臭が強くなるという。口内環境の原因では、他には「歯周病」「へんとう炎」「ストレスによる唾液分泌の減少」。消化器では「胃炎」「十二指腸潰瘍」「逆流性食道炎」「便秘」などが原因になる。

 このうち自分ですぐ対策が取れるのは、舌苔の清掃と唾液分泌の促進だ。

「舌苔は一日の中でも変化します。鏡で何度かチェックして、多いときはタオルや舌ブラシなどでこすって取り除く。食事は、食物繊維が豊富な野菜など噛み応えのある物を意識して食べると、舌苔が自然とはがれます」

 それに食物繊維は便秘の解消にも有効。梅干しや昆布など、唾液がよく出るような食べ物も口臭軽減につながるという。唾液の分泌を促すには、唾液腺をマッサージするという方法もある。人には3つの唾液腺があるが、皮膚の上から触れることができるのは「耳下腺」と「顎下(がっか)腺」。次のように刺激する。

【耳下腺マッサージ】

 耳たぶの真下辺りに人さし指の先を置き、頬を後ろから前にグルグルと押し回す。

【顎下腺マッサージ】

 顎の真下の中央に両手の親指をそろえて置き、舌を上に持ち上げるように押す。

 では、ミント味のタブレット菓子やガム、仁丹などを噛むのはどうか。

「一時的な効果はあるが、口臭は香水と同じでニオイが重なると余計臭くなります。歯を磨いたり、舌苔を取り除いたりしてから使うのがいいでしょう。お酒やたばこも同じで、ニオイが混じると余計に臭くなります」

 ただし、口臭を気にする人の約7割は思い込み(自臭症)ともいわれる。あまり気になるようなら、歯科を受診して口臭測定器で調べてもらった方がいい。実際、口臭が強く口内環境に原因があれば、治療や口腔ケアの指導などで口臭を防ぐことができるという。