数字が語る医療の真実

和食の弱点 コレステロール不足が脳出血を招く

動物性タンパク質と脂肪が不足していた(C)日刊ゲンダイ

 脳出血は、高血圧の人に多いという点では脳梗塞と同様ですが、コレステロールが高いとなりやすい脳梗塞とは逆に、コレステロール値の低い人に多いことが、日本人だけでなく、米国人を対象にした研究でも示されています。

 脳出血は戦争を境に、ここ数十年で急速に減少していることが示されていますが、これは高血圧の治療の普及とともに洋食が広がり、乳製品や卵、豚肉、牛肉などからコレステロールをしっかり取れるようになって激減したのです。

 今では健康的と考えられる「菜食が多く、獣の肉を食べない食事」は、あまりに極端な方向に向かうと、戦前の日本食のように脳出血の危険が高まるかもしれません。日本人で脳出血が大幅に減った背景も、和洋折衷の食事の普及が大きな役割を果たしているのです。

2 / 2 ページ

名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。