医者も知らない医学の新常識

体重の大きな変動は危険 欧米一流医学誌が「心筋梗塞」「脳卒中」増を指摘

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 太り過ぎが「高血圧」や「糖尿病」をはじめとして多くの生活習慣病の原因となり、寿命にも影響を与えることは科学的に証明された事実です。皆さんの中にも健康診断などで太り過ぎを指摘され、「減量しないと命に関わりますよ」と指導を受けた方がいらっしゃるかと思います。

 そうなると、健康のために「なるべく手っ取り早く痩せよう」ということになります。最近、短期間で急激に痩せるというダイエットが宣伝されて注目を集めているのも、そのためかもしれません。

 炭水化物を取らないような食事制限と、運動を組み合わせた方法なのですが、たしかに短期的には非常に効果があるようです。ただ、減量に成功してコマーシャルに登場する芸能人のその後の様子を見ていると、かなりの高率でリバウンドをしているようです。

 実はこのように体重が短期間で大きく変動すると、それが増加であれ減少であれ体に悪い影響を与えるということが分かっています。今年の「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」という一流の医学誌に発表された論文によると、「心筋梗塞などを起こした患者さんが、その後数年間で大きく体重の変動を起こすと、心筋梗塞や脳卒中などが増えて寿命にも悪影響がある」という結果になっています。

 体重を適正に落とすことは健康にとって重要ですが、リバウンドするような過激な方法は、かえって逆効果のこともあるようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。