クスリと正しく付き合う

カルシウム拮抗薬の飲み合わせ オレンジジュースもNGか

オレンジジュースなら問題なし
オレンジジュースなら問題なし(C)日刊ゲンダイ

 食品と薬の飲み合わせが「悪い」ケースとして最も代表的なものは、「グレープフルーツジュース」と「カルシウム拮抗薬」です。カルシウム拮抗薬は降圧薬の一つで、血圧を下げる薬です。

 普段からカルシウム拮抗薬を服用されている方は、「グレープフルーツジュースと一緒に飲んではダメ」だということは認識されていると思います。

 ただ、正確に言えば「カルシウム拮抗薬を飲んでいる間はグレープフルーツジュースを飲んではダメ」なのです。

 薬は腸から吸収されます。グレープフルーツジュースを飲むことによって、腸で薬の代謝に関係しているCYP3A4と呼ばれる酵素の働きが阻害されます。

 すると、薬の吸収量が増加し、血管から入って全身に回る薬の量が増えてしまうのです。水と比較して、4倍増えたという報告もあるくらいです。

 つまり、薬が体にたくさん入ることで飲みすぎと同じ状態になり、「効きすぎてしまう」のです。降圧薬が効きすぎてしまうと、ふらつきなどが起きて危険ですから注意が必要です。

 ちなみに、グレープフルーツジュースを飲んだ後、その影響がなくなるまでには3~4日かかるとされています。カルシウム拮抗薬は毎日飲む薬ですので、服用中はグレープフルーツジュースを飲んではいけません。

 では、オレンジジュースはどうでしょうか。患者さんからもよく質問されますが、オレンジなら問題ありません。ほかにも、ミカン、ユズ、レモン、カボスは大丈夫です。逆に、夏ミカン、ハッサク、ブンタン、スウィーティーは、グレープフルーツと同じくNGです。

 加齢とともに血管が硬くなることで、誰しも高齢になると血圧は上がってしまいます。カルシウム拮抗薬は降圧薬の中でも一般的な薬ですので、服用している人はたくさんいます。「効きすぎ」を防ぐために、食品にも注意してください。

神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。