天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

糖尿病性心筋症は動脈硬化が進んでいなくても発症する

順天堂大学医学部の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 高血糖状態を放置していると、徐々に心筋が衰えて心機能が低下し続け、気づかないうちに心不全などを招く場合があるのです。

 つまり糖尿病には、動脈硬化を促進して冠動脈疾患につながるケースと、動脈硬化がそれほど進んでいない状態でも心筋症を引き起こすケースという2つの心臓疾患リスクがあるということになります。

 予防するためには、まずは、自分が高血糖ではないかをしっかり確認してください。無自覚なまま血糖が高い状態を放置している人も少なくないので、自分だけは大丈夫だと思い込むのは禁物です。空腹時血糖値「110㎎/dl未満」、HbA1c「6.0%未満」が基準値になります。これを超えるようなら、生活習慣の改善や治療を受けるなどして血糖をコントロールすることが重要です。

 食後に急激に血糖値が上がるような食生活を繰り返していると、血管の負担が増え、さらに動脈硬化が進んでしまいます。HbA1cの数値が良好でも、血糖値の振幅が大きい患者は心筋梗塞で死亡する割合が高いという報告もあります。食事をする際は、空腹時に一気にドカ食いすることを避けたり、まず食物繊維が多い野菜などから食べ始め、炭水化物は最後に食べるようにするように心がけましょう。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。