あの話題の治療法 どうなった?

「オルソケラトロジー療法」は近い将来子供にも解禁か?

近視抑制の有力な手段のひとつ
近視抑制の有力な手段のひとつ(C)日刊ゲンダイ

 就寝中に特殊なカーブを持つコンタクトレンズを装着することで角膜の形を変化させ、はずした後の裸眼視力を一定時間矯正させるオルソケラトロジー療法。ナイトコンタクトと呼ばれるこの治療法は日本に上陸して17年になるが、必ずしもメジャーになっていない。果たして、今後はどうなるのか?

「近い将来、一気にブレークするのではないか、と期待しています」

 こういうのは最近、この治療法を導入した都内の眼科専門医だ。一番の理由は子供への適用が解禁される動きがあるからだ。

「レンズの取り扱いが乱暴だったりすると、通常のコンタクトレンズと同じリスクがある。高酸素透過性素材で作られているとはいえ、寝ている間に酸素不足となり不具合が出るなどの懸念から、これまでは親権者の同意が必要となる20歳未満には推奨されていません。しかし、角膜が軟らかい子供とオルソケラトロジーレンズとの相性が良いことが臨床研究で明らかにされつつあり、日本眼科学会で新たな基準が示され、子供にも解禁される可能性があるのです」(都内眼科専門医)

■背景に強度近視への危機感

 その背景には電子機器に囲まれて生活するいまの子供たちの視力低下への危機感がある。

 総務省の調査では、13~19歳のスマートフォンの利用率は70%以上。スマートフォンが登場した平成20年以降の高校生以下の視力は徐々に低下しており、文科省調査では平成28年に視力1.0未満の小学生は30.9%と過去最悪を記録している。

「近視が年間どの程度進むか、というデータがあります。そこから推測すると、いまの状態を放置すると、子供たちが大人になったとき、失明につながる強度近視になる割合が大幅に増えると言われています。そのため、新たな点眼剤の開発など近視抑制の研究を行っていますが、オルソケラトロジーはその有力な手段のひとつなのです」(元大学病院眼科医師)

 実際、慶応、京都府立などの医大眼科教室でこの治療法による近視抑制効果の研究が行われ、良好な結果を残しているという。

「日本眼科学会のお墨付きが出れば、一気に広がる可能性があります。その準備という意味もあり、私は自由診療で行う大人のオルソケラトロジーを手掛けているのです」(前出の都内眼科医)