手術の前に…逆流性食道炎は「ARMS」で治すという選択肢

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

■低侵襲性の内視鏡的治療

 薬物療法で8~9割は症状をコントロールできるが、残り1~2割は効果が不十分、あるいは効果がない。その場合は、噴門部の緩みを修復する外科手術が検討される。

 ただ、「外科手術」というと患者の多くはおじけづいてしまう。逆流性食道炎はがんなどと違い、放っておいても死なない良性の病気だからだ。

「逆流性食道炎の外科手術は入院も4日程度で済み、安全で成績の良い治療です。それでも、薬の次が外科手術というのは、患者さんにとってハードルが高い。そこで行うようになったのが内視鏡を用いた治療法ARMS(アームス)です」

 内視鏡で噴門部の粘膜を3分の2周から5分の4周切除し、瘢痕形成によって縮ませる。入院期間は外科手術と同じ4日間だ。

 井上医師が最初にARMSを行ったのは10年前になる。早期食道がんで、逆流性食道炎もあった患者だった。食道がん切除のために内視鏡治療を行い、胃の内容物の逆流防止効果も期待して噴門部の粘膜も切除した。すると、逆流性食道炎の症状が劇的に改善し、患者の満足度も高かった。

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