独居を楽しむヒント

データが後押し 長生きしたければ“一人飲み力”を養うべし

「高齢で独居でも、元気に自立している人は、決まって足腰が強い。階段の上り下りを嫌がりません。むしろ、そういう段差のある生活を余儀なくされるようなエリアに住んでいたりします。敬三さんも外出をいとわず、買い物がてら店の人たちとおしゃべりをします。そうやって見聞きした情報が自分に役立つと思えば、すぐに取り入れていました。数学的には一人の食事でも、精神的には周りの人とのつながりを持った食卓でした」

 その生活ぶりにこそ、元気なハッピーロンリーになるヒントがある。誰かと一緒に食事をする「共食」と一人で食事をする「孤食」は、社会とのかかわりをチェックする指標のひとつ。東京医科歯科大のグループは、そこに着目。65歳以上の自立した約7万人を3年間追跡し、死亡リスクを調査している。

 その結果が面白い。一人暮らしで「孤食」の男性は、妻や子供たちの家族と同居で「共食」の男性に比べて、死亡リスクが1・2倍だった。ところが、一人暮らしでも「共食」の人は、家族同居で「共食」の人に比べて死亡リスクが低い傾向がみられたのだ。どういうことなのか。作家で、米山医院院長の米山公啓氏が言う。

2 / 3 ページ