「アスピリン1日1錠で医者いらず」なんて言われるほど、アメリカでは頭痛から心臓疾患まで効果のあるアスピリンは、万能薬としてどの家庭にも常備されています。このアスピリンががんの死亡率も下げていたことがわかり、大きなニュースになりました。
この研究結果を「米国がん学会」の会合で発表したのは、マサチューセッツ総合病院のイン・カオ研究員です。
カオ研究員は1980年代から約30年間にわたり、女性8万6000人、男性4万3000人の患者の記録を分析。その結果、毎日アスピリンを飲んでいた人はそうでない人に比べ、全体の死亡率が女性で7%、男性で11%低かったそうです。
これががん患者の死亡率になると、アスピリンを摂取した人はそうでない人に比べ、女性で7%、男性では15%低かったのです。
顕著なのは結腸直腸がんで、女性も男性もアスピリンで死亡率が30%下がったとの分析結果が明らかになりました。ほかのがんでも因果関係が見られ、女性は乳がんで11%死亡率が下がり、男性は前立腺がんで23%下がっていたとのことです。
アメリカでは昨年4月、米国予防医療サービス専門作業部会が「毎日、定量のアスピリンを摂取することで大腸がんと心臓疾患が予防できる」とお墨付きを出したばかり。今回の分析結果はそれを裏付けることになりました。
アスピリンは人によっては胃が荒れる副作用があるため、毎日の摂取に際しては医師への相談が勧められています。しかし、「そういったリスクを考え合わせても、アスピリンの恩恵の大きさは計り知れない」と医療関係者はコメントしています。
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