医者も知らない医学の新常識

ゼロカロリーの清涼飲料水で認知症が増える?

人工甘味料のジュースよりは100%ジュースの方が安心かも
人工甘味料のジュースよりは100%ジュースの方が安心かも(C)日刊ゲンダイ

 砂糖などの糖分をたくさん含むジュースや清涼飲料水を飲みすぎると、「糖尿病」や「肥満」の原因になることは、誰でもそうだろうなと思えることでしょう。実際、そうした研究結果も多く発表されています。

 それだけではなく、「脳卒中や認知症も清涼飲料水をたくさん飲む人で起こりやすい」という研究結果もあるのです。血糖の大きな変動は、どうやら脳にも悪影響を与えるものであるようです。

 では、最近流行の人工甘味料を用いたゼロカロリーの飲み物であれば、そうした心配はないのでしょうか? 
脳卒中と認知症が3倍近く増加

■脳卒中と認知症が3倍近く増加

 実は「そうではなさそうだ」という結果が、最近の「ストローク」という脳卒中の専門誌に掲載されています。フラミンガム心臓研究という有名な住民研究のデータを解析した結果として、毎日人工甘味料を含む清涼飲料水を飲む人は、まったく飲まない人の3倍近く脳卒中(虚血性脳梗塞)と認知症の危険性が増加していたのです。不思議なことに砂糖を含むような清涼飲料水では、そうした傾向は認められませんでした。

 なぜ、人工甘味料が脳に悪いのでしょう。理由は不明ですが、甘味を体が感じることにより、すい臓から血糖を下げるインスリンというホルモンが出すぎることなどが原因として推測されています。

 ゼロカロリーだから大丈夫とは思わず、甘い清涼飲料水は時々飲むくらいにしておいた方が安心だと思います。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。