初夏の健康対策 誤解と真実

初夏こそ増える「睡眠の悩み」 専門家が対策法を解説

写真はイメージ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 春から初夏になると、睡眠に関して2つの相談が増えるという。悩みを解決するためには、睡眠の誤解を正して対策する必要がある。全国で睡眠セミナーを開催している作業療法士の菅原洋平氏に解説してもらった。

①「早朝に目が覚めて、そのまま眠れない」

 とくに中高年からの相談が多いという。

 必要な睡眠時間の長さは、日照時間によって決まる。日照時間の長い夏は睡眠時間が短くなり、日照時間が短い冬は睡眠時間が長くなる。冬が終わり、春から初夏にかけてはどんどん日照時間が長くなってくる。つまり、睡眠時間が短くなるのは自然なことで、長く寝る必要はないのだ。

「しかし、多くの人は『8時間眠らないとダメだ』といった思い込みがあるので、早朝に目覚めても再び寝ようとします。ただ、睡眠時間は足りているから眠れない。結果、焦って睡眠リズムを崩し、不調を招いてしまうのです」

 また、年を取ると睡眠時間が短くなる。基礎代謝が低下して日中のエネルギー消費量も少なくなり、体が必要とする睡眠時間も短くなるのだ。

「早朝でもスッキリと目覚めたら、それで睡眠は終わりということ。そのまま起きてしまった方が体の調子は良くなります。それでも、早朝に目覚めて時間を持て余すのが嫌だという人は、①長く寝ようとして早い時間にベッドに入らない②夜中に目覚めても時計を見て時刻を確認しない③早く起きたからといって早く行動を始めない――ことを意識してください」

②「寝すぎてしまって、日中もヤル気が出ない」

 現役サラリーマンにこうした悩みが多い。

 気温が上昇する春から初夏は、代謝率が上がり、発汗、心拍数、血圧もアップして活動量が増える。その分、体は疲労するため、しっかり休息して回復させようとする。

「その際、リラックス状態で活発になる副交感神経が優位になります。その状態でさらに眠りすぎたり、休みすぎたりすると、集中しなければならない日中もダラけて、ヤル気が出なくなってしまうのです」

 不調を解消するには、寝すぎない、休みすぎないことが大切になる。休日でも、自宅で少しだけ仕事をしたり、体を動かすなどして、交感神経を高めるような活動を心掛ける。

「休日に“寝だめ”するとしても、普段の起床時間から3時間以内に起きることが大切です。起床が1時間遅くなると、睡眠リズムを戻すためには1日かかります。3時間遅くなると水曜日まで不調が続き、リズムが戻る週末は仕事の疲れがたまっているため、結果的に1週間ずっとダラけたまま過ごすことになってしまうのです」

 副交感神経が優位になって眠れるからといって、ダラダラ、ゴロゴロ過ごしてはいけない。

関連記事