初夏の健康対策 誤解と真実

真夏の常識は当てはまらず 5月の熱中症はこんなに危険

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 5月の熱中症対策は、真夏のそれとは違うポイントがいくつかある。知らなければ、エライ目に遭うかもしれない。

①水を飲んで意識不明

 水分補給は熱中症対策の基本の「き」。ところが真夏ほど高温ではない5月では、かえって健康を害する原因になりかねない。

「過剰に水分を摂取すると、細胞が膨化して低ナトリウム血症、さらには水中毒を引き起こす可能性があるのです」(横浜創英大・則岡孝子名誉教授=以下同)

 症状としては、疲労感、頭痛、嘔吐、痙攣など。数は多くないものの、意識不明から死に至るケースもある。

 激しい運動や長時間の屋外活動の場合は例外として、日常レベルの活動なら、喉が渇く前にちょこちょこ水を口にするので良い。なお、先に挙げた症状が出てきた時は、自己判断せずに、すぐに病院へ。

②スポーツドリンクで糖尿病悪化

 炎天下で大量の汗をかいた時などに飲むと最もいいのは、水に塩とブドウ糖を加えた経口補水液だ。しかし、スポーツドリンクの方が手軽に手に入るからと、こちらを飲む人も多いだろう。経口補水液より体内への吸収は遅いとはいえ、発汗で失われた塩分を補うことができる。

 ところが5月は、真夏と比べて汗を大量にかく機会は少ない。今からスポーツドリンクを常飲していると、塩分や、同じくスポーツドリンクに含まれる糖分の過剰摂取につながり、高血圧や糖尿病の悪化を招く。

 また現在は糖尿病でなくても、ペットボトル症候群と呼ばれる急性糖尿病に陥るかもしれない。 

「汗をそれほどかいていない状況では、スポーツドリンクより水を飲んだ方がいい」

③気温は高くなくても熱中症

「5月は体がまだ気温や温度の変化に慣れていないため、真夏ほどの暑さでなくても、熱中症を起こしやすい。5月は『前の日との気温の差』に特に注意を払うようにしてください」

 気温の急な上昇が予想される日は、熱中症にかかりやすい。個人差があるが、一般的に前日と比べて気温差が5度以上になると、体へかかる負担が大きいといわれる。

 先に述べたように「水の飲みすぎ」には気をつけながら、適度な水分補給を心掛けるべき。

④クラブ活動で熱中症

 則岡名誉教授は、「中学1年、高校1年のお子さんを持つ親御さんは、運動クラブの活動時の熱中症対策にも気を配った方がいい」と指摘。

 新しい環境にようやく慣れ、クラブ活動に本腰を入れ始めるのが5月だ。ただ、通学時間やそれに伴う起床時間の変化などで、体は思っている以上にストレスを感じている。加えて、上級生とは体力が大きく異なる。

「それら上級生と同じ練習をすることで、体にかかる負荷が大きくなるのでしょう。初夏に熱中症を起こした新入生の話をよく聞きます」

 則岡名誉教授が、5月ならではの熱中症対策として推すのが牛乳。特に運動後のコップ1杯の牛乳が効果的だという。

「牛乳に含まれるアルブミンという成分の働きで、体内の血液量が増え、体温調節機能の働きが良くなります。5月から始めると、この夏の熱中症のリスクを低くするのに役立つでしょう」

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