初夏の健康対策 誤解と真実

初夏こそ要注意 「糖質中毒」のメカニズムを専門医に聞く

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「初夏は喉が渇きやすく、ついつい糖分たっぷりのジュースや清涼飲料水に手が出てしまいがちですが、『糖質中毒』への注意が必要です」

 こう言うのは糖尿病専門医で「AGE牧田クリニック」(東京・銀座)の牧田善二院長だ。なぜか? 話を聞いた。

 糖質中毒とは「朝起きると体がだるく、糖分が欲しくなる」「糖分を取った瞬間に幸福感に襲われ、しばらくハイになり、子供っぽくなる」「その後再び体がだるくなり、集中力が低下してイライラが募り、強烈に糖分が欲しくなる」を繰り返す状態を言う。

 なぜ、人は糖分を取ると気持ち良くなるのか?

「血糖値が急上昇するとエンドルフィンやドーパミンといった脳内麻薬と呼ばれるホルモンが分泌されるからです」(牧田院長)

 問題は一日中糖質を取る生活を続けると、体はすぐに悪くなること。その恐ろしさは日本で「あまくない砂糖の話」というタイトルで上映された豪州映画に描かれている。監督自らが実験台になって、毎日スプーン40杯分の砂糖を60日間取り続け、自分の体がどのように変化するかを記録。

 結果、監督の体重は8・5キロ、腹囲は10センチ増加。肝臓の数値(ALT)は40以上、中性脂肪値も150%上昇して脂肪肝になった。

「これは他人事ではありません。缶コーヒーやジュースなどの清涼飲料水には40グラム以上の糖質入りが結構あるからです。普通の人の血糖値は90㎎/dlで、100㏄の血液中に90ミリグラムの糖分が流れています。人間の血液量はおよそ4・5リットルですから、血液中には常時4グラムの糖分が流れている計算です。そこに大量の糖質が体内に入ってくると、血糖値を抑えるために膵臓がフル稼働して大量のインスリンを分泌させます。すると、間もなく低血糖へ。今度は新たに糖分を取って血糖を上げようとします。その繰り返しで膵臓が疲弊し、糖尿病になる可能性が高まるのです」(牧田院長)

 もともと食卓に炭水化物が多い日本人は、誰もが「糖質中毒」になりやすいことを覚えておこう。

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