十二指腸に悪性リンパ腫ができたFさん(43歳・男性)は1年にわたって化学療法を受け、腫瘤が完全に消失しました。化学療法終了後は無治療となり、3カ月おきに外来で検査を受け、経過を観察していました。
そして2年を経たある日、Fさんは突然、呼吸困難を起こし、外来にやってきました。酸素吸入が必要な状態で、胸部X線写真では両肺が真っ白です。そのまま緊急入院となりました。薬剤性肺障害と考えられることからステロイドホルモンの大量療法を行い、救命できました。
2週間ほど入院していたFさんによく事情を聴いてみたところ、悪性リンパ腫の再発を心配したFさんは、家族にも内緒で「がんに効く」と広告でうたわれているサプリメントやキノコのエキスなどを次々と買い求め、計5種類を毎日飲んでいたといいます。そのうちのどれが肺障害の原因かは分かりませんでしたが、Fさんの了解を得た上でこのことを国にも報告しました。
がんと向き合い生きていく