独白 愉快な“病人”たち

B型肝炎と共に30年 石川ひとみさんが語る偏見との格闘

来年デビュー40周年を迎える(C)日刊ゲンダイ

 入院すると、移動はすべて車椅子。「いやいや、私歩けますけど」って思うのですが、体力を消耗することが厳禁とのことでした。治療は飲み薬と点滴と注射、そして安静。でも、全然退屈じゃなかった。やっぱり体がしんどいと安静が退屈には感じないんですね。痛みこそないものの、体が鉛のようなだるさでコップを持ち上げることも、物を食べるということすらつらく感じました。

■水泳教室で「子供にうつるからやめさせて」

 約40日間で退院した後は、1年間の自宅療養が義務付けられました。週1回、血液検査に通いながらのリハビリ生活です。たった10分の散歩から徐々に距離を延ばしていきました。

 そんなある日、街に出たら「あ、B型肝炎の人!」と呼ばれました。当時の私はよく病気のことを知らなくて「なんでかな?」と思った程度でしたが、また別のときに街中で囲まれて握手に応じていたら、ちょっと遠くから「この人、B型肝炎だからうつるよ、握手しない方がいいよ」と大きな声で言われたのです。目の前で握手をしようとしていた人はとっさに手を引っ込めました。「握手ではうつらないですよ」と笑顔で言いましたが、もう誰も聞く耳を持ちません。そのとき思い出したんです。医師に「いろいろあると思うけど……」と言われたことを。「こういうことか」と、そこで初めて気付きました。

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