役に立つオモシロ医学論文

認知症の発症リスク2倍 寝すぎは脳の老化を招くの信憑性

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 このような認知症発症リスクの増加は、特に軽度認知機能障害(認知症の前段階)だった人で約2・8倍、高学歴でなかった人で約6倍と、大きく増加していました。さらに、睡眠時間が4~6時間のグループに比べて、9時間を超えるグループでは、脳容積や、思考・行動などをコントロールする機能(実行機能)の低下が認められました。

 認知症の発症要因は多岐にわたり、長時間睡眠が認知症を引き起こすかどうかについて、この研究結果だけで結論付けることは難しいと思います。しかしながら「寝すぎは脳の老化を招く」ということは、あながち否定できないかもしれませんね。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。