がんと向き合い生きていく

早期ではほとんど症状が表れない 食道がんの知識と生存率

都立駒込病院名誉院長・佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 また、厄介なことに、食道にあるがんがまだ早期に見えても、中にはリンパ節に転移していることがあったりします(胃がんでは、がんが早期の形をしていたらリンパ節転移はまれ)。ですから、がんの転移や広がりを調べるため、内視鏡検査やCT検査などでステージをハッキリさせ、治療方針を決めます。

 食道がんの原因には、たばこ、飲酒が挙げられます。私が担当した食道がんの患者さんのほとんどが喫煙者でした。

 治療には、手術、内視鏡治療、放射線治療、薬物治療(抗がん剤)があります。内視鏡治療は早期がんの一部で行われ、内視鏡で見ながらがんを切り取ります。

■進行がんの場合は長時間の手術になる

 進行がんでは、手術が選択されることが一般的です。また、手術の前後に放射線治療、抗がん剤治療を組み合わせて実施される場合もあります。食道は消化器の一部ですが、だからといって大病院の消化器外科ならどこでも手術できるとは限りません。食道がんは特殊で、がんの場所が胸部にあり、開胸しての手術や鏡視下手術が行われるからです。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。