がんと向き合い生きていく

早期ではほとんど症状が表れない 食道がんの知識と生存率

都立駒込病院名誉院長・佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 進行した食道がんの手術では、がんを中心にその部位の食道を切除し、さらに近くの転移リンパ節も切除するだけでなく、切除された食道の代わりに胃や腸を使って食べ物が通る通路がつくられます(食道再建)。そのため、手術時間が長くかかることが多いのです。

 他に病気があったり、患者さんの体の状態などにより、手術が選択されずに放射線治療や抗がん剤治療が行われる場合があります。抗がん剤は「シスプラチン」と「5-FU」との併用が標準的に使われてきました。

 放射線治療では、がんが消えても治療した部分が狭くなり、食事の通過が悪くなったりすることがあります。その場合、狭くなった部分を広げる処置が行われます。

 ステージ4の食道がんの5年生存率は10~20%で、まだまだ厳しいのが現状です。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。